なぜ中国版インフルエンサー”KOL”、”網紅”が信用されるのか。わかりやすくまとめてみた

SNSが台頭し、個人でも簡単に情報発信ができるようになった情報社会の現代。

テレビなどのマスメディアよりも、個人が発信する情報の影響力が強くなってきています。
またそんなSNSなどのネット上で、ものすごい影響力を持つ個人のことを”インフルエンサー”と呼ぶようになりました。

日本の広告・マーケティング業界でも、このインフルエンサーを活用したプロモーションが流行しておりますが、今そのインフルエンサーマーケティング業界でもっとも先進的な国といえば、中国でしょう。

しかし、中国版インフルエンサーとなると、”KOL”(Key Opinion Leader)と呼んだり、”網紅(ワンホン)”と呼んだり、もう何がなんなのかわからないですよね。

ということで、今回はその中国版インフルエンサー”KOL”(Key Opinion Leader)、”網紅(ワンホン)”の定義わけを説明し、なぜ今彼らが中国社会で受け入れられているのか簡単にまとめていきたいと思います。

中国版インフルエンサーの”KOL”、”網紅(ワンホン)”の違い


様々なネット上に飛び交う情報を集計して、簡単にまとめると上記のような定義わけになります。
しかし、今は中国国内でも、その定義わけが曖昧になっているようなので、”KOL”、”網紅(ワンホン)”などと聞いたら、「あー、中国圏内のネット上で影響力が強い人たちのことだね。」と考えてもらえばいいかと思います。

なぜ”KOL”や”網紅(ワンホン)”が中国で受け入れられるのか

中国企業、政府への信用がない

中国は現在”共産党”の事実上の一党独裁政治です。
”共産党”はソ連の指導を受けた毛沢東らによって建設された社会主義を軸とした党です。

東西冷戦の時代、イギリスを追い抜こうとして発令した「大躍進政策」での大失敗や、「文化大革命」の名の下行われた大量虐殺などから、中国人は政府のことを表立っては批判することはないものの、基本的に信用していません。

ただし、もちろん人によって信用しているか、していないかは変わります。中国人スタッフによると、”党員”という人たちや農民は、政府のことを信じていることが多いそうです。

ですので、中国人全員が政府のことを信用していないわけではありませんので、ご注意ください。

この辺りの話は、池上彰さんの「中国・香港・台湾 分断か融合か」に詳しく説明されているので、時間がある方はぜひ読んでみてください。

また以前より、中国国内では残留農薬,違法添加物使用,重金属汚染等による有害有毒食 品の横行が後を絶たず,食品関係はもとより、基本的に中国企業が作っているもの、言っていることには信用性がないとされています。

中国特有の絆”圏子(チェンツ)”という文化

上記の通り、中国では企業がいうことは基本的に信用されず、個人間同士の口コミが重要な影響力を持ちます。
それは、中国独自の強い絆を持つ人間関係「圏子(チェンツ)」という考え方によるもので、圏子(チェンツ)とは、同等の学歴、同等の経済力等を基準として、何人かで構成される友人、知人関係のことを指します。

いわば、本当に信頼できる仲良しグループのことなのですが、日本人が考える普通の仲良しグループではなく、圏子内で、強い結束力と助け合いの力が働いています。

少し具体的に説明すると、圏子の内、誰か一人だけ飛び出るのではなく、仮に圏子内で一人が社会的にワンランクアップしたのであれば、他の圏子メンバーも社会的にワンランクアップすることができるよう、相互扶助的に頑張るという集団です。

中国人が訪日旅行した場合、SNS内で有益な情報を発信、その情報が圏子同士でシェアされ、拡散します。

これが時間を追うごとに繰り返されることで、シェアされ信用を獲得した情報が他の人に検索されるというサイクルになっています。


出展:https://cte.trendexpress.jp/

 

その中で出てきた”KOL”、”網紅(ワンホン)”という影響力を与える存在

そんな口コミが重要視される中で登場したのが、”KOL”(Key Opinion leader)という存在です。
KOLは、芸能界のスターからある特定の分野に特化して、その分野のファンに熱烈に支持されているネット上のスターなど様々存在します。

出典:https://find-model.jp/insta-lab/about-influencer/

貧しかった時代と違い、今の中国人の若者たちは格好いいもの・上品なものを追いかけ始めています。

「偽物ではない本当にいいものを手に入れたい。」

そんな欲求が強くなる最中、上述した通り、中国の企業に対しては基本的に信用していないため、海外の企業に興味を示し始めたという背景があります。
またその中で、トップスターやインフルエンサーが本当に価値のあるものを持っていると信じ、彼らを模倣すれば、また彼らが持っているものを買えば、自分自身も格好よくなるのではないか。ということで、インフルエンサーたちがものすごい影響力を持っているのです。

中国インフルエンサーマーケティングの市場規模

出展:http://growth-ideas.com/marketing-socialmedia-13

そんな中国人インフルエンサーマーケティングの市場規模は、580億元で、約9,000億円にものぼっています。越境ECが加速するにつれて、この中国人インフルエンサーを活用したビジネスの規模も加速傾向になると予測されています。

まとめ

”KOL”、”網紅(ワンホン)”など様々な呼称が使われていますが、ひとまず全てひっくるめて中国版インフルエンサーと考えて良さそうですね。

また彼らが絶大な影響力を持っている背景には、中国企業や政府の信用の欠如、また圏子という中国独特のコミュニティ文化などが絡んでいることもわかりました。

今後も加速度的に成長するであろう中国インフルエンサーマーケティング並びに、中国越境EC市場から目が離せません。

また弊社は、中国人インフルエンサーを活用したPRや、中国越境ECの運用代行など行っておりますので、興味がある方はお問い合わせください。

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