アジアの玄関口とも呼ばれ、訪日外国人が前年300万人を突破した福岡県。リピーター観光客が増加するとともに、FIT(個人旅行客)が多くなってきている昨今。行政も個人のインバウンド客向けの観光PRに力を入れています。
その一環で9月上旬、筑後田園都市推進評議会(事務局:福岡県)の事業として「台湾のインフルエンサーを活用した、福岡県筑後エリア観光モデルコースPRプロジェクト」が動き出しました!
外国人リピーター観光客向けに地域の魅力を発信している弊社が、どのように行政や地場企業と連携を深め、筑後エリアを盛り上げようとしているのか、その一部始終をお届けします!
目次
筑後田園都市推進評議会(事務局:福岡県)と連携した観光戦略
今回のプロジェクトの背景
まず日本全体の流れとして人口減少が進み、人口の都市部一極集中化が顕著になってきています。地方には独自の魅力が多く、伝統技術をもっている職人さんがたくさんいるにも関わらず、人口減少などの影響で、衰退の一途をたどっており、自治体さんも地域を活気づけていく必要性を強く感じています。
そんな中、福岡県と筑後地域12市町からなる筑後田園都市推進評議会は、国籍別に筑後エリアの観光モデルコースを作成するなど、そのPRに力を入れています。
筑後観光モデルコースとは
筑後観光モデルコース–台湾・香港向け–
http://kankou.chikugolife.jp/images/chinese_j.pdf
ちくご観光案内所(筑後の魅力を多言語で紹介するサイト)
http://kankou.chikugolife.jp/
筑後観光モデルコースとは、この筑後田園都市推進評議会が主体となって作成した「筑後に行くなら、このルートがおすすめ!」とわかりやすくモデルコース化したものです。
中でも面白いのは、欧米向け、韓国向け、台湾・香港向けなど各国籍のニーズに応じて、最適なルートを提案していることです。
福岡県は特にアジア圏からの旅行客が多いのですが、国籍によって旅行者のニーズが違うため、各国籍のニーズに応じたモデルコースを作ることは効果を最大化する上で、必要なことです。
実際、筑後田園都市推進評議会など公の機関がこのような細やかな対応をしていることは大変珍しく、画期的な取り組みとなっています!
今回のPRプロジェクトの目的
今回のPRプロジェクトの目的は、「その観光コースを海外の方に認知してもらうこと」。また、副次的な目的として、交通面などの課題をあぶり出し、実際にお客様に使っていただける環境を整えることです。
実際に台湾旅行ブロガーを連れてファムトリップ(海外の旅行会社や旅行ブロガーなどを招聘して、各観光施設を回ること)を行う中で、見えてきた課題や、今まで知らなかった筑後の魅力などがたくさんありました。
台湾の有名旅行ブロガーを招聘した理由
アジア圏の中で、PR先を台湾に絞った理由は、リピート率にあります。観光庁が出しているデータで、訪日客の60%以上がリピート客になっていることが分かっています。その中でも、台湾からの訪日旅行客は、なんと8割以上がリピーターと群を抜いてリピート率が高くなっています。
またリピート率が高い外国人旅行客は、都市部よりも地方に出向き、”ドローカルな日本文化を体験したい!”という需要に変わってきています。
そのような市場の流れを鑑みた上で、台湾向けに焦点を絞り、台湾の旅行客に人気のある旅行ブロガーさんを招聘するに至りました。
台湾出身の旅行ブロガー「林氏璧さん」
月間50万PVを誇る旅行サイトを運営。家族と旅行に行った際の記事などを多く執筆。旅のお役立ち情報などを詳細に発信するため、50万人以上の台湾人たちのコミュニティも同時に併せ持ちます。
■WebサイトPV数:月間50万超 ■Facebookのいいね数:905,252
台湾人向けの、“筑後観光モデルコース”
※ファムトリップ当日の様子
『筑後地域の魅力を体感できる』をコンセプトにファムトリップでめぐる場所を決めました。
<<実際に回った場所>>
小郡市:如意輪寺(カエル寺)、とびうめ(そば打ち体験)
大刀洗町:あちこ’s ファーム(農家)、ふなき製菓(お菓子屋)
田主丸:巨峰ワイナリー
久留米市:大砲ラーメン
大牟田市:四郎國光(刀匠)
柳川市:水郷柳川観光株式会社(川下り)、福泉操(鰻屋)、御花(柳川藩主立花邸)、北原白秋記念館
広川町:森山絣工房(久留米絣工房)、原野製茶本舗
台湾インフルエンサーの影響力は
気になる台湾インフルエンサーの影響力に関してですが、今回のファムトリップ中にFacebookで柳川の川下りの動画を流されたのですが、たった1日で2.7万回再生されています。
そのほか今回の筑後エリアのファムトリップの記事が11月末あたりに配信予定ですので、配信されて結果がわかり次第、お伝えいたします。
特に好評だったスポット
全体として、都市部ではなかなか体験できなかったところも多く、どこも非常に評価が高かったのですが、特に柳川で川下りをしながら、鰻料理を食べられたことは気に入られてました。
ラーメンの聖地福岡で有名なラーメン屋さんは、ほぼ全て回られたそうですが、一番美味しかったのは、久留米の大砲ラーメンだと言われました。
また久留米市が行っている2,000円で4枚のチケットをもらえ、それぞれの提携店で通常よりもお得な特典商品と交換ができるくるくるチケットというサービスも、家族向けには非常にありがたいサービスだと言われていました。
また台湾の方はお酒好きが多いので、巨峰ワイナリーも喜ばれていましたね。まさに都市部ではできない自然豊かな体験だったので、気に入られていたようでした。
浮かび上がった課題
今回行ったファムトリップの評価は「満点です」と最終的には言っていただきましたが、同時に課題も見つかりました。
筑後は面白いところが多いですが、車がないといけないところも多いため、アクセス面での改善が必要であること。
最後に、今回は中国語の通訳を同行してのファムトリップであったので、問題はありませんでしたが、実際に観光客の対応となると言語面での課題が必ず出てくるので、そこをどうクリアするのかなどの課題が上がりました。
行政・地場企業と連携し、課題解決へ
今回ファムトリップを行う中で、輸送係を担当してくださった大稲タクシーグループの福岡ハイヤーサービスさん。
福岡ハイヤーサービスさんは、国内外VIPの対応や、富裕層の外国人観光客向けにコンシェルジュドライバー付きの輸送サービスを行っている会社さんで、自社で北部九州のグルメ・観光・文化を紹介する観光ガイドブック「FLAGS」を発行するなど、今までの輸送サービスの枠を超えて、職人さんにスポットを当てた富裕層向けの企画を立てられている面白い会社さんです。
台湾のインフルエンサーを活用した魅力発信もさることながら、実際に来てもらった時に満足していただけるような環境整備は必須です。
今回上がった課題を解決し、外国人観光客の方に筑後をとことん楽しんでいただくため、弊社は福岡ハイヤーサービスさんなど地場企業と提携し、課題解決を行って行きたいと思っています。
今後のIWの展開について
三つ目の課題としてあげられた”言語の問題”。
これは常々インバウンド客を受け入れる上での課題として取り上げられていますが、今回のファムトリップを通じて、ただ通訳者の方を同行させるだけでは”言語の問題”を解決することは難しいことがわかりました。
それは一つは費用面の問題。通訳者の方を観光客全員が雇うことは現実問題難しいです。
そしてやはり地方に根付く伝統工芸などの分野は専門用語も多く、それ自体を深く理解していないと伝えることが難しいからです。
そこで弊社はその課題を解決するためにも外国人留学生向けに「地方版インターンシップ」を推進し、地域の魅力を深く語れる「地域エバンジェリスト」育成事業を進めています。
外国人の地域エバンジェリストが、現地でまた外国人の母国語で地域の魅力を伝えることができれば、きっと地域の魅力の伝わり方が変わると思います。そうなれば外国人観光客の満足度は高まり、リピーターが増えていく可能性が高まることが期待できます。
今後も、筑後田園都市推進評議会(事務局:福岡県)のような行政、福岡ハイヤーサービスさんのような輸送サービスを展開される地場企業、そして弊社のような地域の魅力を海外へ発信するPR企業の全員が力を合わせて、筑後エリアを含めた日本の地方を盛り上げて行きたいと思います。
今後の動きに乞うご期待ください。
今回の台湾旅行ブロガーを招聘したファムトリップ、そのほかインバウンドのことなどについてお問い合わせされたい方は、下記からお問い合わせください。