こんにちは。
2018年12月に上野焼の多言語HPを作成したので、ご報告です。
作成した上野焼のHPはこちら。
今回は、日本語、英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語の5言語バージョンを作成しました。
目次
上野焼とは
みなさん上野焼をご存知でしょうか?
上野焼は経産省指定の伝統工芸品の一つで、福岡県田川郡福智町上野でつくられ続けてきました。
陶器の器で主に茶道に使われる道具を制作することが目的で400年以上前に窯が築かれ格調高い陶芸作品が多く焼かれています。
上野焼陶芸家 ”渡仁”さん
渡さんは渡窯、として上野焼の伝統技術・伝統美を継承し続ける陶芸家で、渡窯、の十二代目になります。
穏やかな雰囲気とは裏腹に、密かに持つ陶芸作りに対する情熱、蓄積されてきた歴史観は話を聞くたびに圧倒されていました。
どうすれば西洋向けに興味を持ってもらえるか
今回いただいた依頼は、多言語HPを作成することで、西洋の人に上野焼をPRしたいということでした。
そこでどうやったら西洋の方に興味を持ってもらえるだろうか。
渡さんの話を聴きながら、ずっと考えていました。
キリスト教に関連があることが判明
話を伺う中で、どうやら上野焼はキリスト教に関連があることがわかりました。
なんでもキリスト教に関連した焼き物がいくつもこの上野の地から発掘されたらしいのです。
もともと小倉藩藩主の細川忠興公の茶陶窯として開窯した上野焼ですが、実は細川忠興公の妻細川ガラシャはキリシタンであり、上野焼の職人とキリシタンとの繋がりが話を聞きながら見えてきました。
日本の伝統と思われている茶道はキリシタンの影響を受けている
さらに驚くべきことに、日本独自の伝統と思われている茶道はキリシタンの考え方に強い影響を受けていることが判明しました。
茶道を確立し、世の中に広めたのは、千利休ですが、千利休の7人の高弟の中にはキリシタン大名が含まれており、千利休自身もキリシタンだったのではないかと言われています。
回し飲み(濃茶)
茶道の中の一つには回し飲みの文化がありますが、これは一つのお椀に入ったお茶をみんなで飲むことで「価値観を共有する」意味合いがあります。
これはキリスト教の最後の晩餐と同様の意味合いがあります。
最後の晩餐では、キリストが、弟子たちにパンを神の肉、ワインを神の地として、分け与えますが、これはみんなで神の肉、血を共有することで、互いの価値観を共有させたと言われています。
にじり口
茶道にはにじり口という小さな入り口があり、そこから茶室に入室します。なぜにじり口が狭いかというと、武士たちが武器などを持ち込めないようにするためであったと言われています。
今よりも身分の差が激しかった当時ですが、茶室の中では皆平等の空間を作ることを千利休は確立しました。
またキリスト教においては、「狭き門から入れ」という教えがあり、財産や地位、名声、武器などを捨てたものが天国の門をくぐることができると言われています。
これも茶道の考え方と共通するところですよね。
キリスト教→茶道→上野焼
キリスト教と茶道、上野焼の共通点が見えたところで、そこを軸に西洋の方に親しみを持ってもらい、来客に繋げようと考えました。
なかなか情報をまとめるのが難しい案件でしたが、なんとかうまくまとめられたのではないかと思います。
よければ一度訪問してみてください。
苦労はしたが・・
今回のHPを作成するにおいて、渡さんのところに通うことはもちろんのこと、キリスト教についての理解を深めるために教会に行ってミサに参加したり、森の中をかいくぐって、上野焼の発祥の場所に行ったりと、正直結構大変でした。。
また渡さんと仕事をさせていただき、Webサイトの小さなフォントや文章などの細かいご指摘などもいただきました。
しかしながら、そこに職人さんらしさを感じたとともに、そのディテールにこだわる職人魂によって、今まで上野焼は支えられてきたのだと感じました。
今回の案件を通して、キリスト教と日本の文化の勉強、職人さんの気質や特徴、魅力など様々な勉強をすることができました。
ご一緒にお仕事させていただけて、本当にありがたかったです。
今後も上野焼含め、日本の職人文化の素晴らしさを伝え、後世に残すことができるよう、弊社ができることをさせていただければと思います。
今後ともよろしくお願いします。
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