最近、訪日中国人の方が日本の医薬品を大量に購入されていますが、なぜ中国人から日本の医薬品が人気か知っていますか?
今回はその理由を探っていきましょう。
目次
医薬品は”医療用医薬品”と”OTC医薬品”に大別される
訪日中国人から日本の医薬品が人気な理由をまとめる前に、いくつか重要な医薬品に関する情報を説明しておきましょう。
日本の医薬品は大きく分けて「医療用医薬品」と「OTC医薬品」に大別されています。
医療用医薬品とは
医療用医薬品とは、病院や診療所などで、医師が診断した上で発行する処方せんに基づいて、薬剤師が調剤して渡すお薬のことです。処方薬とも言われています。
OTC医薬品とは
OTC医薬品とは、薬局やドラッグストアなどで自分で選んで買える「要指導医薬品」と「一般用医薬品」のことです。
OTCとは、英語の「Over The Counter」の略語で、対面販売で薬を買うという意味です。
これまで「大衆薬」や「市販薬」とも呼ばれてきましたが、最近では国際的表現の「OTC医薬品」という呼称が使われるようになりました。
またOTC医薬品の中でも様々な種類があり、次のように分類されます。一つずつ順を追って紹介していきましょう。
要指導医薬品
OTC医薬品として初めて市場に登場したものでは慎重に販売する必要があることから、販売に際して、薬剤師が需要者の提供する情報を聞くとともに、対面で書面にて当該医薬品に関する説明を行うことが義務付けられています。
そのため、国内向けにインターネット等での販売はできません。店舗においても、生活者が薬剤師の説明を聞かずに購入することがないよう、すぐには手の届かない場所に陳列などすることとされています。
第一類医薬品
第一類医薬品とは、副作用などにより日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、特に注意が必要なものや、新規の医薬品のことを指します。
第一類医薬品を販売できるのは、薬剤師の常駐する店舗販売業や薬局のみです。
薬剤師が、購入者に注意深く説明する義務があります。そのため、全ての製品において、広告では「この医薬品は、薬剤師から説明を受け、使用上の注意をよく読んでお使いください」と表示されます。このため、店舗販売業において薬剤師が不在になった場合は販売できません。
第二類医薬品
第二類医薬品とは、第一類医薬品以外で、副作用、相互作用などの項目で安全性上、注意を要するもののことです。
第2類医薬品には、主なかぜ薬や解熱剤、鎮痛剤など日常生活で必要性の高い製品が多くあります
販売者は、極力購入者へ内容、成分、その他注意事項の簡単な説明が求められるという努力義務が課されています。
第三類医薬品
第三類医薬品とは、上記以外の一般用医薬品のことを指します。
医薬品であることには変わりなく、販売にあっては第二類医薬品と同様の規制を受けますが、購入者から直接希望がない限りは、商品説明に際して法的制限を受けていません。
要注意!海外であれば、要指導医薬品もネット販売できます!
先ほどの表示では、要指導医薬品はネットでの販売が不可と書かれてありましたが、これは国内の話で、海外向けにネット販売するのであれば、要指導医薬品(例えば処方箋など)も販売することが可能です。
(もちろん、ネットで海外に向けて販売する方は、そもそも医薬品販売の許可が必要です。)
これは海外であれば、日本の薬事法が適用されないからです。
ですので、逆にいえば、個人輸入であれば海外の医薬品をネットから仕入れることもできます。
ただし!!個人輸入した医薬品によって、健康被害が起こっても自己責任となります!
ですので、最大限注意してください。
中国人から医薬品が人気な理由
話がそれましたが、ここで本題に入りましょう。
なぜ中国人はこんなにドラッグストアで買物するのでしょうか。
ポイントは4つあります。
①製品の工夫
日本の薬も漢方薬や中国医学を起源にしているものばかりです。
さらに日本は医薬品の原材料を中国から輸入しています。例えば風邪薬の成分は基本的に同じです。差があるのは日本製の風邪薬はとても飲みやすく、子どもたちの味覚に合うように工夫されていることです。
薬のパッケージも可愛く、子どもにとって受け入れやすいことも良いポイントです。
逆に中国の風邪薬は苦く、親は子どもをあやしたりだましたりしながらどうにか薬を飲ませないといけません。
また日本の薬は、適切な量を服用してもらうために、びんの蓋に分量を量るための目盛がついているものがあるなど、様々な細かい気配りが施されており、このような細かな気配りが商品の価値を高めています。
②商品のブランド力・バリエーション豊富な商品
各メーカーの努力の甲斐あって、日本商品のブランド力が世界的にも確立しているため商品への安心感があります。
「Made in Japan」であることは、安心感を与えるために非常に重要なポイントです。
日本のドラックストアはとにかく商品が多彩で品数も豊富です。また、中国圏では10年くらい前まで、高齢者が細々と経営している店が多く、病気になったときにだけ薬を買いに行くところでした。
そのため、健康な人がコスメやOTC医薬品を買いに行く日本のドラッグストアのコンセプト自体が斬新なイメージを与えることもあります。
③円安
上図のデータは2018年3月16日(本日)の中国人民元/日本円のレートで、下図のデータは最も爆買いに火がついていた時期の’15 ’16 ’17年3月16日の中国人民元/日本円のレートを表したものです。条件を同じにするために時期を同じにしましたが、数値は一目瞭然。2015年の爆買いブーム時が最も円安ですよね。
④代購ビジネス
ちなみに中国では、「代購」と呼ばれる代理購入ビジネスが行われています。
「代購」は、簡単に説明すると中国人が欲しがる海外製品を、第三者が代わりに海外で購入して中国へ届けるビジネスのことです。
注文する中国人にとっては、送料と手数料を払っても国内で買うより安く済むことがあります、また国内で売っていない物も入手できるというメリットがあります。また代わりに購入する人は、商品価格に上乗せした手数料が収入になるので、まさにwin-winのビジネスになるというわけです。
上述の通り、中国の方は日本の医薬品を求める傾向にあるため、日本の医薬品は代購ビジネスを行う人からすれば非常にいい商材なのです。
最近では、関税が上がり、代購ビジネスに陰りが見え始めましたが、それでも今もなお行われています。
まとめ
今回は訪日中国人から絶大な人気を誇る日本の医薬品がそもそもなぜ人気なのかまとめました。
その理由は日本製品のきめ細やかな気配りから、日本商品のブランド力、円安、中国の代購ビジネスの存在が関わっていることがわかりました。
今後も売れ続ける日本の医薬品の動向に着目していきたいと思います。
インバウンドや中国越境ECに関して、ご相談されたい方はこちらからお問い合わせください。
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